客員研究員紹介Visiting Researchers

石井 研士 / Kenji Ishii

國學院大學神道文化学部教授

石井 研士

1954年生まれ。都立小石川高校を卒業後、東京大学文科三類に入学。同大学文学部宗教学宗教史学科卒業後、同大学人文科学研究科宗教学宗教史学博士課程修了。東京大学文学部助手、文化庁宗務課専門職員を経て、現在、 國學院大學神道文化学部教授(博士・宗教学)・副学長を務める。

“結婚式の変遷を通し、儀礼文化の理解を深める”

専攻は宗教学・宗教社会学で戦後の社会変動と宗教の関係について継続的に研究を行っています。社会変動は社会構造の変動を意味していて、産業構造の変動を始め、その結果生じた都市化や過疎化、情報化が宗教にどのような影響を与え、持続もしくは変容したかを調査研究しています。

宗教団体の調査研究も行いますが、私たちの日常生活における宗教の問題を通して、私たちが置かれている社会的文化的状況を理解したいと考えています。そのために、年中行事や通過儀礼、とくに「結婚式」の変化に関心を持っています。

最近の研究関心は、限界集落化した地域の宗教法人のあり方と、ポップカルチャーに見られる宗教性です。

研究所では、もっぱら結婚式、とくに昭和40年代後半から50年代に盛んになった「ハデ婚」が、なぜ行われるようになったのかを調べています。比較的最近の文化現象で、自明と思われるものでも、実際にはなかなか全容が見えなかったり、理由が不明であることは少なくありません。結婚式の変遷を通して、日本人の精神構造や儀礼文化を理解したいと考えています。

山田 慎也 / Shinya Yamada

国立歴史民俗博物館 民俗研究系 教授

山田 慎也

1968年生まれ。92年慶應義塾大学法学部卒業後、同大学大学院社会学研究科修士課程を経て、97年博士課程満期退学し国立民族学博物館COE研究員となる。98年国立歴史民俗博物館助手、2007年に准教授、19年に教授となり現在に至る。博士(社会学、慶應義塾大学)。専門は民俗学、文化人類学、特に儀礼の近代化に興味を持っている。著書に『現代日本の死と葬儀─葬祭業の展開と死生観の変容』、共編著に『変容する死の文化─現代東アジアの葬送と墓制』(ともに東京大学出版会)などがある。

“実証的な方法から儀礼文化研究の発展に寄与”

冠婚葬祭総合研究所では、おもに葬送墓制を中心にプロジェクトを組んでおり、2015年度から3年間、「葬儀の標準化と個別化」、「無縁社会における墓と追悼」というテーマで、全国のおもな葬送墓制に取り組む研究者と共にプロジェクトを進めてきました。「葬儀の標準化と個別化」では、近代以降の葬送儀礼の変遷を通して、戦後成立し大きく発展を遂げてきた冠婚葬祭互助会の展開の背景と現在の役割について分析を行いました。また「無縁社会における墓と追悼」では、現在急速に進む個人化が孤立化をも生み出し、従来の葬送墓制に変化を与える現状を把握し、その対応について検討を行いました。これらの研究から、改めて人々のつながりの再構築と、故人の追悼のあり方を社会として考えていく必要を感じました。そこで第1期の成果を踏まえ、「家族・地域を含めた新たな「つながり」への展望と葬送墓制―死の文化の変容と多元化する社会的紐帯の考察―」プロジェクトを進めています。これらのプロジェクトを通して、これからの社会にむけ、人々が心ゆたかな人生を送れるよう、貢献していきたいと考えています。

一条 真也 / Shinya Ichijyo

上智大学グリーフケア研究所客員教授、九州国際大学客員教授

一条 真也

1963年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。冠婚葬祭互助会株式会社サンレーの代表取締役社長として、有縁社会を再生する心ゆたかな儀式の提供をめざしている。また人間尊重思想を広める「天下布礼」の旗を掲げ、人間尊重思想を広めるべく作家活動にも情熱を注ぐ。2012年、第2回「孔子文化賞」を稲盛和夫氏と同時受賞。14年、全国冠婚葬祭互助会連盟会長に就任。上智大学グリーフケア研究所客員教授、九州国際大学客員教授も務める。

“冠婚葬祭必要論の理論武装をする”

わたしは冠婚葬祭互助会を経営しています。経営理念は「人間尊重」ですが、これを一語で表現すると「礼」になると思います。その礼の精神を広く世の中に広める活動を「天下布礼」と呼んでいます。

これまで、わたしは約100冊の本を書いてきましたが、『決定版 冠婚葬祭入門』『決定版 年中行事入門』(ともにPHP研究所)、『葬式は必要!』(双葉新書)、『唯葬論』(サンガ文庫)、『永遠葬』(現代書林)、『儀式論』(弘文堂)といった冠婚葬祭・儀式をテーマにした本も多く、また、新聞・雑誌・WEBの各メディアに冠婚葬祭の重要性を説くコラムを連載し、日々、全国に向けて情報発信しています。

そのほか、大学の客員教授として教壇に立ったり、さまざまな講演をさせていただいたり、「グリーフケア」や「隣人祭り」の普及に努めています。すべては「天下布礼」の一環であると思っています。

冠婚葬祭総合研究所の客員研究員として、わたしは「冠婚葬祭必要論」の理論武装をはじめ、儀式文化のイノベーション、互助会システムの海外への導入などを研究したいと思っております。実際に冠婚葬祭互助会を経営している強みを生かしていく所存です。 どうぞ、よろしくお願いいたします。

吉崎 達彦 / Tatsuhiko Yoshizaki

株式会社双日総合研究所チーフエコノミスト

吉崎 達彦

1960年生まれ。84年一橋大学社会学部卒業後、日商岩井株式会社に入社。広報室にてPR誌の編集担当、米ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て企業エコノミストの道へ。日商岩井とニチメン株式会社の合併により、2004年から現職。関心領域は内外経済、アメリカ政治、外交・安全保障論など。テレビ東京『モーニングサテライト』などマスコミ出演も多い。13年にフジサンケイグループ「正論新風賞」を受賞。

“サービス産業の一分野として、冠婚葬祭の可能性を探る”

双日株式会社という商社で、エコノミストとして働いています。互助会保証の藤島安之元社長は以前の上司でした。

そのご縁もあって、毎年、新年には冠婚葬祭や互助会関連の方々を前に、経済講演会の講師を務めさせていただいています。仕事柄、いろんな業界と接点がありますが、冠婚葬祭業は特にユニークな業態ですから、接していて非常に勉強になります。

少子高齢化社会の到来は、ほとんどの産業においてネガティブに語られています。ところがセレモニーホールという業態においては、「多死」時代はむしろ需要の増加を意味します。サービス業として、大いに伸び代があるといってもいいでしょう。

ただし冠婚葬祭とは、日本古来の伝統に立脚した習慣や慣行でもあります。明文化されたものではありませんし、時代によって絶えず変化します。その将来像は、容易には予測しがたいものがあると思います。つまりこの業界は先端的な産業といえるでしょう。

冠婚葬祭総合研究所の客員研究員として、サービス産業の一分野としての冠婚葬祭の可能性を探ってみたいと考えております。